北会津 簗部山(1387.4m)、大早稲沢山(1424.8m)、甚九郎山(1180.8m) 2013年4月13日  カウント:

所要時間 8:46 林道入口−−8:57 尾根取付−−10:34 1380m峰−−11:06 簗部山 11:11−−11:27 1380m峰−−11:47 1409m峰−−12:09 1441m峰−−12:22 1420m峰−−12:35 1420m峰−−12:49 1428m峰−−13:02 大早稲沢山−−13:17 1428m峰(休憩) 13:46−−14:00 1400m肩−−15:12 甚九郎山−−15:54 900m鞍部−−15:58 大沢渡渉−−16:04 林道−−16:23 林道入口

場所福島県耶麻郡北塩原村
年月日2013年4月13日 残雪期日帰り
天候曇時々雪
山行種類残雪期登山
交通手段マイカー
駐車場林道入口付近に駐車場あり
登山道の有無たぶん無し(積雪でルート不明)
籔の有無残雪が出るまでは籔あり
危険個所の有無無し
山頂の展望どの山頂も樹林に囲まれて無し
GPSトラックログ
(GPX形式)
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コメント南側の曽原より簗部山、大早稲沢山、甚九郎山の順で周回。誤って違う地図を持っていったため、大早稲沢山と甚九郎山の位置が分からず苦労した。最初の登りの尾根は標高1000m近くまで残雪が消えて籔が出てしまっていた。籔には新雪が乗り濡れて厄介。稜線に出ると新雪が10〜20cm積もってラッセル状態。簗部山〜大早稲沢山間はラッセルが続いて疲れた。甚九郎山へ続く尾根も地図が無くて読図できなかったが、現場の地形を見て正しいルートを歩くことができた。この日は天候が悪く、稀に陽が射すこともあったがほとんど曇りで時々雪が舞った。気温は-6〜+2℃くらいでこの時期としては寒かった




起点の林道。人家で除雪が終わる 除雪されていない林道をスタート
人家裏から見た簗部山。暗雲漂う 林道は雪が続く
尾根取り付き
境界標識。ここでも前橋営林署管内 斜面を登るが上部は籔が・・・
できるだけ雪を伝わる 尾根上は古い残雪なく新雪のみ
990m肩でやっと残雪にありつく 1006m峰
990m鞍部からの登りはまた籔 1050m以上で再び残雪に乗る
カモシカの新しい足跡。逃げる姿が見えた 1130m付近
1300m付近 1380m峰。ガスに突入
簗部山へ下る つぼ足ラッセル
ワカンにスイッチ 1320m鞍部から簗部山の登り
最後の登りが急で左から巻く 山頂手前
三角点のある(はずの)簗部山山頂 1380m東をショートカット
1370m肩から見た1409m峰 1409m峰
1409m峰から見た1441m峰 1409m峰から見た簗部山
1420m峰手前から見た1441m峰 1441m峰。「ボスあづま」の標識あり
1441m峰北側から北を見る 雲間から顔を出した飯森山
1420m峰への登り 1420m峰。「ボス大嶺」の標識あり
1つ目の1420m峰から見た1428m峰 2つ目の1420m峰から見た1441m峰
前方は1428m峰
1428m峰。大早稲沢山山頂かと思ったが違った 先にはなだらかな稜線が続く
大早稲沢山山頂 帰路を戻る
1428m峰への登り返し 1428m峰再び。休憩する
1420m峰
1400m肩付近から見た1441m峰 1400m肩で西に分岐
西尾根もブナが茂る 1362m肩付近
鞍部へと下る。少し笹が出ている 1180m鞍部
樹林の隙間から見た甚九郎山 カモシカの足跡が多い
1192m峰から1110m鞍部へ下る 1110m鞍部
1160m峰から西に向かう 甚九郎山への登り
甚九郎山山頂。目印のみあり 1160m峰から南に向かう
歩きやすい尾根が続く
1080m肩付近から見た簗部山の稜線
1010m付近。ちょっと灌木出現 960m付近
900m鞍部 900m鞍部より東に下る
大沢が見えてきた ここを渡渉
対岸を登る 林道に出た
帰りになってやっと晴れた 人家到着
林道から見た磐梯山


 今週の平日は寒気が入り平地でも寒さが続いたため、まだ雪が残るようなエリアでそれなりの標高の山は新雪でラッセル確実。本当は銀山平か上越国境をと考えていたが、テントを背負って激ラッセルは無理なので別の行き先を考えた。標高を落として豪雪地帯からやや離れた場所、でもまだ残雪が期待できて夏道が無い山と条件がいやらしい。地図を眺めた結果、残雪期に訪問したことがない北会津を目指すことになった。場所は裏磐梯桧原湖東側の大早稲沢山、簗部山、甚九郎山だ。ここは標高1400m程度で新雪があるのは間違いないが猛ラッセルでもないだろう。豪雪地帯からも離れている。それでいて磐越道に近くアプローチがいい。3山をつなげて周回も可能と見た。

 東北道を走行中、あまりの眠さに矢板北PAで仮眠。磐梯河東ICを出た時は日付が変わっていた。桧原湖まで国道を上がると周囲は一面の残雪どころか雪が降っている。まだ冬タイヤのままでよかった。駐車場で再び仮眠。目覚ましをかけなかったら6時間くらい寝てしまった。雪は止んでいたがどんよりとした曇り。天気予報では午後から回復するとのことで、予定通り出発することにする。

 今回の起点は南側の曽原で、大沢沿いの林道を少し遡って簗部山北西側の1380m峰に続く尾根に乗り、反時計回りに周回予定だ。たぶん林道は除雪されていないと予想したがその通りで、林道入口の人家で除雪は終わっていた。人家より少し戻った公園のような広場に車を置いて出発。太陽が顔を出したりするが、簗部山の稜線は雲に覆われ、立木は新雪が乗って真っ白だ。

 林道には足跡があってラッキーと思ったがすぐに戻っていて、新雪の軽いラッセルで始まる。今回はワカンを担いできたが稜線上はどのくらいの積雪だろうか。林道が小尾根を乗り越えるところでその尾根に乗る。周囲は花粉がいやらしい杉植林だが、斜面が立ち上がるとカラマツ植林に変わる。そして予想以上に残雪が少なく笹藪が出てしまっている。これだったら北側の早稲沢集落から周回した方が良かったかもと後悔。もう遅いのでこのまま藪漕ぎ開始だ。

 急斜面をよじ登って尾根に乗ってもやっぱり雪なし。正確には古い残雪が無く新雪のみある状況だが、大した積雪量ではないので笹は立ったままだし、笹に乗った新雪が溶けて笹が濡れた中を登るので新雪は無い方がいい。ただ、笹の濃さはそれほどではく藪漕ぎの範疇には入らない程度だ。立木には赤ペイントも見られたが、無雪期に登る人がいるのだろうか。

 標高990m肩で傾斜が緩むとやっと尾根南側エッジに雪庇残骸が残るようになり、その上だけは笹が埋もれて雪も固いし断然歩きやすくなる。平坦な1006m峰も残雪があって進みが速かったが、その先の登りが始まると再び残雪が消えて新雪だけとなり笹藪に突入。高度が上がって標高1050mまで達するとやっと雪庇残骸が現れるようになり、尾根直上を避けて雪が残る南斜面を登るようになる。カモシカの足跡が多いが、笹藪の中をガサガサ逃げる音だけ聞こえただけで御本尊の姿は見えなかった。

 高度が上がってガスの層に突入、新雪が増えるが古い残雪は相変わらず南斜面にへばりつく程度で尾根上は笹藪だ。ちょっとずつ新雪の積雪量が増えていくが、軽いのでつぼ足のままで大丈夫。少しばかり笹が出たところを通過し、傾斜が緩むと1380m峰に到着。当たり前だがトレースは無く新雪だけが続いている。今までの雪の少なさが嘘のように稜線上には大量の残雪があり、その上の新雪は一気に増えて10〜20cmと言ったところ。これでは豪雪地帯で2000m近いと30cmを越えているだろう。こちらに来て正解だった。周囲はガスで視界が無いが、簗部山は南東方向にあるはずなのでそちらに下り始める。この雪では登り返しは結構なラッセルになるので、今シーズン初めて歩幅を狭めてラッセルしながら下った。傾斜が緩んだところでワカン装着。

 鞍部から登り返し、山頂直下で尾根直上は露岩混じりの急斜面となり、ここは左から(東)回り込んで再び尾根に乗る。もう山頂の一角で、地形図を見ると南端に三角点が設置されていることになっているが、この雪の量では三角点の確認は不可能だ。とりあえず南端の肩まで歩いて簗場山山頂到着。目印くらいあるかと思ったが皆無。そういえば1380m峰に到着してから目印は見なかったような。周囲はブナに囲まれて樹林を通して展望がある程度で、晴れていてもすっきりした見通しは得られないであろう。

 次は大早稲沢山。ここで印刷してきた地形図をスイッチしようとウェストポーチから紙を取り出したら明日登る予定の高曽根山の地図だった。大失敗だ。記憶によると大早稲沢山までいくつかピークを越えていき、しかも山頂付近に同じ程度の高さのピークが並んでいたような。GPSは持ってきたが山頂位置を入れていないので役立たない。おまけに甚九郎山は山頂はこれまで見ていた地図に入っているが、そこに至るまでの尾根が地図からはみ出していて、ここも単純な地形ではなかったはずで目視だけでうまく歩けるのか自信が無い。でもここで切り上げるのは時間的にも体力的にもったいないので、まずは大早稲沢山方面に行ってみることにしよう。明瞭な下りになるまで進んでおけば、どこかで山頂を踏んでいるだろうし。

 復路は1380m峰まで自分のトレースがあるので登りも楽々だが、その先は長いラッセルが始まる。大きくはないがアップダウンの連続で、登りのラッセルは疲れる。天候は一時晴れ間も覗いたが再び厚い雲に覆われ、ガスは上がってくれたが雪が舞い始めた。気温が低いのは雪が重くならずラッセルのためにはいいことだが、空と同じく気分はグレーにならざるを得ない。

 尾根上はもう藪が出ている個所は無く、充分な量の古い残雪の上に乗った新雪を踏み分けていく。1420m峰は東を巻いて1441m峰に登るとそれまで目印を含めて人工物は皆無だったのに「ボスあづま」の山頂標識が登場。おお、この分だったら大早稲沢山山頂にも標識が期待できるな。標識さえあれば山頂を踏まない間抜けなことをしなくて済む。

 次の1420m峰は「ボス大嶺」の標識があった。しかしいかんせん手持ちの地図の範囲外なので現在地が分からないし、大早稲沢山までの残距離も不明だ。このまま稜線を伝って歩くしかない。1400m肩で尾根が右に屈曲、たぶんここを左に行けば甚九郎山方向ではなかろうか。稜線上からでは樹林で先が見えず、尾根の続きが分からなかった。

 雪庇が続く尾根を直進、小ピークを越えて登りついたピークが1428m峰。1441m峰の次に高そうな場所で、これより先はなだらかな尾根が続くが、ここより高い場所は無いように見える。でも山頂標識は皆無で大早稲沢山山頂の確信は無い。山頂がこことは限らないため、怪しげなピークはすべて踏んでおくことにして、肩のように急激に高度が落ちる場所まで行ってみることにした。

 尾根が左に曲がり、鞍部に下って登り返したピーク(1420m峰)にも山頂標識は無く、まだ先に緩い尾根が続いているので進んでいくと、もう一つピークがあり、これ以上進むともうピークは存在せず急激に高度が落ちる肩に到着した。今までのどのピークが大早稲沢山山頂だったのか不明だが、たぶん山頂を踏んだだろうと納得し、1428m峰で本日初めての休憩。もう4時間も休み無しだった。天候は相変わらず雲に覆われ、弱い雪が舞って気温はほぼ0℃だった。

 休憩を終えて自分のトレースを追って往路を逆戻り。甚九郎山にうまく辿りつけるか不明だが、地形図無しで挑戦してみることにした。幸い、ガスは高い位置まで上がっていてこの付近では視界はクリア、樹林を通してだがある程度先まで見通しが可能だった。1400m肩付近で頻繁に右手の斜面を見て西に延びる尾根がないかチェックしながら進み、尾根が左に屈曲した1400m肩のやや先で明瞭な分岐尾根を発見、太さから考えてこれに間違いないだろう。もし間違いだったら甚九郎山は諦めて適当に南に下って林道に出てしまえばいい。

 尾根は落葉した背の高いブナなので、割と先の尾根の様子を見ることができ、地図無しでも何とかなりそうだった。とりあえずこのまま今の尾根を下って大丈夫そうなので下り始める。積雪量は高度を下げると徐々に減ってきて笹が目立つようになるが、登りで使った尾根よりはずっと藪が薄かった。ここでもカモシカの足跡が多数あり。前方にはそれらしい白いピークが見えるが、そこから南に顕著な尾根が伸びている。この尾根は手持ちの地図範囲内に出ているので甚九郎山に続く尾根に間違いなく、白いピークが甚九郎山に間違いなしだ。これが分かっただけでもラッキーだ。

 最初の鞍部に到着した後は尾根の屈曲連続するが、先が見通せる樹林で甚九郎山が見えているので尾根のつながりが分かってルートミスすることなく進んで行けた。雪は薄いが藪も薄い状態が続き、この付近は無雪期でも歩けそうな雰囲気だ。1150m峰で南に分岐する尾根と分かれて西の甚九郎山への最後の登り。やや広い山頂は周囲を樹林に囲まれるが頭上は開けていた。これで青空ならばいいのだが今は一面灰色の空。近くの木には3mくらい高い位置に目印がぶら下がっていたので、簗部山などより訪問者が多いようだ。

 いいかげん疲れたので休憩しようかとも思ったが、もう登りは無いしたぶん車まで1時間もかからないだろうからと歩き続けることにした。地形図では1150m峰から南に延びる尾根上には破線が描かれているが、夏道は存在するのだろうか? ピークからしばらくは豊富な残雪で夏道の形跡は全く分からないが、目印は全く無いことから道の存在は怪しそうだ。標高が落ちてくると稜線東側のみ雪庇の残りが張り付いているが尾根上は雪が消えた区間が長くなってくる。そこは薄い笹藪で踏跡も見られず、夏道は存在しないようだ。

 地形図では破線は913m峰手前の900m鞍部で大沢に下り、沢を渡って対岸の林道に上がることになっているが、夏道が存在しないのならそれにこだわる必要は無い。ただ、このピークを上がってその先も尾根を伝わると車から離れた場所に出てしまうため、破線のように林道に出るのが得策と思えた。鞍部付近は笹が出ているが、下る東斜面は斑に雪が残っていて藪を避けられる。問題は大沢の渡渉が可能かどうかだが、何やら沢の音が大きく聞こえるような・・・・。ダメでも水深が浅ければロングスパッツを付けたまま水中を走れば短時間なら靴の中に浸水することはないので、場所を選べばどうにかなるだろう。

 沢まで大した距離は無く、雪をつなげて下ると音の割に川幅は狭く流れも浅い。少し下流にずれるとゴルジュ状になって渡渉不可能だが、上流側だと狭い場所もあって簡単に渡渉できた。対岸に渡って雪の斜面を登ると雪に埋もれた林道が登場。しばし林道歩き。往路で取りついた尾根で自分の足跡が登場したが、他に人間の足跡は無かった。

 人家に向かって歩いて行くとタヌキの親子?が斜面から林道に降りてくる途中で、林道に出てしまった1匹は私の姿に気づいて慌てて走り出し、残り2頭は斜面を駆け上がっていった。タヌキを見るのも久しぶりだなぁ。目撃するのは夜中の林道が多いのだが日中に見たのは初めてかもしれない。

 除雪地帯に出るといつの間にか青空が広がっているのに気付いた。南方には磐梯山。夕方になって回復するとはちょっと遅かった。でも終わりよければすべて良しとしよう。

 

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